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サツマイモでん粉の高機能化と用途開発

  • 公開日: 2019-05-13
  • 変更日: 2021-10-27
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【研究の背景および目的】
サツマイモは、火山灰土壌で台風の常襲地域である南九州を支えるでん粉資源作物です。しかし従来のサツマイモでん粉は、特徴がなく用途が限られました。そこで農研機構九州沖縄農業研究センターや鹿児島県大隅加工技術研究センターと連携して、高付加価値のでん粉用サツマイモ育成に取組んでいます。例えば特殊なでん粉を作るサツマイモを育成、分子構造や利用特性を明らかにして用途拡大を図っています。収益性の良い多収・高でん粉や病虫害抵抗性の強い品種なども育成しています。

【おもな研究内容】
これまでに、サツマイモのアミロース含量変異でん粉や低温糊化でん粉を見出しました。でん粉原料用品種「こなみずき」は、でん粉の特殊な分子構造により、低温糊化性や耐老化性など、過去に無い性質の天然でん粉であることを明らかにしました。また、新品種「こないしん」は、多収・高でん粉で病虫害抵抗性も比較的強い品種であり、従来のでん粉原料用品種に替わるサツマイモとして期待されています。

低温糊化でん粉の特性
左の写真は、10%でん粉ゲルを冷蔵庫で7日間保存したものです。普通のサツマイモでん粉は変質により白濁してもろくなりますが、低温糊化でん粉は透明感とモチモチ感を保っています。
⇒変質しにくい天然でん粉です。

【期待される効果・応用分野】
低温糊化でん粉は、(1)低温かつ低エネルギーで糊化する、(2)糊化でん粉が老化(変質)しにくい、(3)生でん粉粒が酵素分解されやすい、といった利用上の優れた性質をあわせ持っています。例えば、でん粉が老化しにくいことにより、ゲル食品などの品質劣化が改善されます(写真)。また、このようなでん粉を高圧処理や過熱水蒸気処理、湿熱処理などの加工技術により、さらに性質を多様化することができます。

【共同研究・特許などアピールポイント】
●これらのサツマイモは従来の育種交配技術により育成されています。上記のサツマイモでん粉以外にも、興味あるでん粉が見つかりつつあります。ご要望のでん粉特性をお知らせください。
●でん粉の分子構造や物性の測定、多糖類やオリゴ糖などの各種糖質分析技術も揃っています。

【コーディネーターから一言】
サツマイモは高バイオマス資源作物。新系統によるでん粉は、低温で糊化、変質しにくい、など従来の市販でん粉より高機能の天然でん粉素材です。でん粉質食品の日持ち向上が可能で、サツマイモの用途拡大も期待できます。

(研究分野)
でん粉利用学 糖質化学 食品化学
(キーワード)
食品素材 サツマイモ 高機能でん粉 でん粉利用 でん粉生合成

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 国内 / 南九州 / 南西諸島域 / その他地域
有効期限 : 無期限

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